5月下旬、EAは約300人の従業員を解雇し、そのうち約100人は高評価を受けたスタジオRespawn Entertainmentのメンバーだった。『Apex Legends』や『Star Wars Jedi』シリーズで知られるRespawn(元『Call of Duty』開発者が設立)は、人員削減前に新作『Titanfall』の開発を進めていたとされる。公式には中止されたが、業界関係者によればこれはエクストラクションシューター——意図的に難易度の高いPvPvEハイブリッドジャンルで、依然ニッチな存在——だった。『Titanfall』テーマのエクストラクションシューターは、この形式をメインストリームに押し上げ得ただろう。EAがこの可能性を放棄した今、疑問が残る:どの開発者がエクストラクションシューターを現在の愛好者層から引き上げられるか?答えは数ヶ月以内に明らかになるかもしれない。
EAの戦略的再編が『Titanfall』に与えた影響
「長期的な戦略目標を優先する中、今後の成長に向けてチーム再編とリソース配分を実施しました」とEA広報はRespawnのレイオフについて声明した。この発表は、CodemastersやBioWareなどEA全体に及んだ再編の一環で、2023年3月には社内670人の削減に至った。これらの動きは業界の持続可能性に関する議論を呼び、組合結成の機運が高まっている。
噂されていた『Titanfall』エクストラクションシューターの中止は、特にカルト的人気を誇るシリーズファンを落胆させた。また、メインストリーム化に苦戦するジャンルの現状を浮き彫りにしている。Respawnの具体的な計画如何にかかわらず、この中止を巡る議論により、エクストラクションシューターの未開拓ポテンシャルへの認識が高まっている。
Bungieの『Marathon』:ジャンル突破の可能性
Circanaのビデオゲーム産業アドバイザーMat Piscatellaは指摘する:「これは依然としてマスマーケットに浸透していない愛好者向けジャンルです」。先月発表されたBungieの新作エクストラクションシューター『Marathon』はこの状況を変えるかもしれない。アセット盗用疑惑で初期に物議を醸したものの、実機プレビューは好意的な反響を生んでおり——『Halo』と『Destiny』で実績あるBungieの手腕なら当然かも知れない。
「このジャンルをメインストリーム化できる開発者がいるとすれば、それはBungieでしょう」とPiscatella。エクストラクションシューターは通常PvPとPvE要素を組み合わせ、小隊を敵対的環境に投入し、目標達成・資源収集・脱出を試みさせる。パンデミック禍で『Escape From Tarkov』の過酷なハイリスクゲームプレイから流行したが、後続作の成功はまちまちだ。
『Helldivers 2』:現在のジャンル最先端作
Arrowheadの2023年リリース『Helldivers 2』はジャンル内で最も注目すべき成功作と言える。『Tarkov』の過激なPvP重視と異なり、協力プレイ・風刺テーマ・コミュニティ主導イベントを強調。Circanaデータによると、4月のSteamでは8位、PlayStationでは34位を記録し、米国でアクティブSteamユーザーの9%、PS5プレイヤーの3%がプレイ。「他のエクストラクションシューターで2.3%以上のプレイ率を達成した作品はありません」とPiscatellaは補足する。
バトルロワイヤル作品に比べれば控えめな数字だが、Piscatellaはジャンルの萌芽的ポテンシャルを強調:「新ジャンルの成長には画期的な1作が必要です。『Guitar Hero』はリズムゲームを、『Halo』はコンソールFPSを、『WoW』はMMOを変革しました。『Marathon』がエクストラクションシューターで同様の役割を果たすか?」
ジャンルの課題と市場現実
エクストラクションシューター分野には『Deep Rock Galactic』『Hunt: Showdown 1896』無料プレイ可能な『Delta Force』(現在Steam日間プレイヤー数15位)などが存在する。だがこれらはバトルロワイヤルの巨塔に及ばず、多くの出版社が収益性の確立したジャンルを優先する結果に。この保守主義が、『Call of Duty』のエクストラクションモードが単独リリースではなく『Warzone』アドオンに留まった理由かもしれない。
「『Marathon』の成功は保証されていません」とPiscatellaは警告。「突破口を開くには、ジャンル愛好者を惹きつけて推奨させつつ、主流FPSプレイヤーにも入りやすい設計が必要です。『習得は容易だがマスターは困難』というバランスが決め手になります」
ゲーム市場の現状の不安定性も障壁となる。「プレイヤーには強力なソーシャル&収益モデルを備えた定番作(多くは無料)が根付いています。『Marathon』の課題は、この環境下で新作が直面する普遍的問題です」とPiscatella。
AAA級パイオニアとして、9月リリースの『Marathon』は業界のリトマス試験紙となる。成功すれば、主要出版社がBungieの後追いをするだろう。収益モデルから市場トレンドまで様々な変数が影響する中、Bungieの設計ノウハウにより『Marathon』はジャンル初のメジャー作品となる可能性を秘める。ゲーム業界は今年秋、エクストラクションシューターがついに主流となるか注目する。